最近思い出した過去の話。
20代後半、私はアパレルの事務として働いていて、新宿を経由して原宿まで通っていました。当時は京王線下高井戸駅から徒歩5分という超好立地に住んでました。新宿から徒歩入れても15分で帰れましたからね。とっても便利でした。その頃の話。
ある日、いつもの様に仕事を終えて電車に乗り、新宿駅で京王線に乗り換えたところ、電車に入ってすぐの所に立っているカップルが喧嘩をしていました。
特に男性はかなり怒りを露わにしていて、ブツブツと延々小言を言っています。女性はその男性と向かい合って立っていて、俯いていました。
「あぁ、こんな公衆の場でまでそんな怒らなくても…彼女も凄くしょげてるし…」と私は思いながら、そのカップルの斜め後ろ辺りに立ちました。私からは男性の顔が見えて、女性の顔は見えない。女性は微動だにしません。
電車が発車して暫くすると、徐々に男性はヒートアップしてきた様で、声が大きくなってきました。聞くつもりは全く無いのに、男性の大きな小言が耳に入ってきます。
「ブツブツ…だからダメなんだよ…!」みたいな感じの事を言っていて(覚えてないが)、ついつい耳を澄ましてしまいました。
そして戦慄。
その男性、大声で独り言を言ってたんです。
え?え?!と混乱する私。
混乱している間に電車は次の駅に着き、男性は降りていきました。
女性はもちろん降りず、そこで体勢を元に戻して普通に立ってました。
多分、女性は「変な人の前に立ってしまった…!」と気付き、男性を刺激しない様に必死で耐えて動かなかったんでしょうね。私は女性より後に電車に乗り込んだので、詳細は分からないんですけど。
日常の中にこんな恐怖が潜んでるとは思いませんでした。怖いなぁ…。