単なる普通の変な人

よく変と言われるけど私は普通の人です。アイコンはあずらいちさん作画。

ブーケトスでブーケを誰も取らなかった。

台風が連続発生しまくりで晴れの日が無い。

もうすぐ金木犀も花開いて良い季節になるはずなのに、これじゃあ金木犀の花も咲いてすぐに散ってしまう。

 

秋になると思い出す、友人の結婚式の思い出。

彼女は横浜のインターコンチネンタルホテルで挙式と披露宴を行い、ゲストは100人程。なかなか豪華な披露宴だった。ゲスな話、相当な金額がかかったと思う。500〜600万位か。

 

それはさて置き、その頃はまだ私達は20代。26歳位だったと思う。友人(新婦)が私達のグループでは最も早い結婚であり、他の何人かは全員独身だった。だからなのか、彼女は披露宴でブーケトスを行った。皆さんご存知のブーケトス。女どもが群がってブーケを奪い合うブーケトス。私もそのイメージは持っており、「怪我したら嫌だな…」と明後日な心配をしていた。でも、ブーケが手元にきたら嬉しいなとも思っていた。

 

司会の女性が「女性の方はどうぞ前へ!」と促し、女性ゲストが集まる。そこに向けて新婦がブーケを投げる。「あ!ブーケ来た!」と私は思った。来た。でも、私の横だった。私の横に立った友人の所へ、真っ直ぐにブーケが飛んできた。残念だけど仕方ない、そう思った時、隣の友人が飛びのいて、ブーケが床に落ちた。

気まずい沈黙。

 

係りの人がササっとブーケを拾い上げ、司会の女性は焦った様子も無く取りなして、再び新婦がブーケを投げた。

また隣の友人の所に真っ直ぐ飛んできた。また隣の友人が飛びのいた。

「もう落とせない!」と私は思った。

スライディングでブーケを奪い取り、少し怪我をして髪が乱れた。湧き立つゲスト。満足げな新郎新婦と司会の女性。良かった。

 

「ブーケを受け取った方は前へどうぞ!」と司会の女性に促され、新郎新婦と私で写真を撮る。その頃にはゲストは席に戻り始め、「一言どうぞ!」と言われるがまま話すがゲストは誰も見ていないし何の為の一言なのか。

「必死でしたね!」と笑顔で司会の女性に言われたけれど、その一言には全く納得がいかなかった。私の「落とせない」という気持ちの行き場はどこ。