単なる普通の変な人

よく変と言われるけど私は普通の人です。アイコンはあずらいちさん作画。

映画版とドラマ版「マークスの山」感想。

お題「『マークスの山』関連でなんか書く」

私からelveさんと小野さんに「原作読んで感想を聞かせて!私も読む!」と言ったにも関わらず、私は原作を読んでいません。

めちゃくちゃ…長くて文章かたそうなので…って言い訳。

多分読まないので(開き直り)、映像2作品について書く事にしました。

elveさんがきまやさんを誘ってくれて、3人は原作のレビューをしてくれています。

読者家さんはマジすげぇ…。

マークスの山 - スナックelve 本店

一番最初の「マークスの山」を読む - おのにち

高村薫『マークスの山』を読んだよ - きまやのきまま屋

 

マークスの山」は高村薫作の1993年に発行された小説です。

初版は早川書房からですが、その後講談社から文庫で出版された際に全面改稿されたという恐ろしい作品。

そんな事あるぅ?!

 

elveさんが文庫を、小野さんときまやさんが初版本を読んでくださったので、色々違いを知る事が出来た…!

 

マークスの山 DVDコレクターズ・BOX (3枚組)

マークスの山 DVDコレクターズ・BOX (3枚組)

  • 発売日: 2011/06/22
  • メディア: DVD
 

 

1995年に映画が上映され、2010年にドラマがWOWOWで放送されました。

ドラマは現在アマゾンプライムで観れます。

他の有料放送で観れるかどうかは不明。

映画版はそもそもDVD化されてないとか…。

 

〈映画版あらすじ〉

閑静な住宅街で起きた暴力団組員の殺人事件。

主人公の合田を含む捜査7係が担当したその事件は、当初は暴力団同士での抗争と見られていた。しかし凶器が見付からず、捜査を進めていく内に同じ手口で法務省官僚の松井が殺され、事件は当初の想定とは違う方向へ向かっていく。

同じ頃、弁護士の林原(りんばら)はある事を理由に「マークス」と名乗る人物から強請られていた。マークスは電話口で「内ゲバ」と繰り返し、1億円を用意しなければまた人を殺すと言う。林原はその「ある事」に関係した人間に相談をするが、自分で解決しろと素っ気ない態度を取られる。

マークスを名乗り林原を強請っていたのは、水沢裕之という男であった。裕之は精神病院に入院中、同じ病室に入院していた浅野のノートを手に入れ、林原と浅野含む5人の過去の黒い事実を知ったのだった。

 

 

 

 

以下、映画版ドラマ版共にネタバレします。

映画版では裕之は精神病院に入院中、浅野と肉体関係を結んでいます。

無表情で応じる裕之に対し浅野は、身体を重ねながらノートについて独り言の様に喋ります。「このノートがあるからあいつらは何も言えないんだ」と。

裕之は日々繰り返される浅野の独り言の様な喋りによりノートの存在を知り、後日そのノートを手に入れる事になるのです。

 

ドラマ版では既にそこが違って、裕之が精神病院男性看護師を殺害した罪で刑務所に入っている時に、同室の岩田に浅野の遺書の話を聞いて、出所後に浅野の家に盗みに入ります。ノートじゃなくて遺書。

原作も遺書&盗みに入るらしいので、ドラマ版の方が原作に忠実の様です。

 

主要人物も映画版とドラマ版では大きな違いがあって、映画版では基本的に合田が1人で戦います。

ドラマ版で出てくる合田友人の加納も、合田元妻も、事件を調べる新聞記者も出てきません。

合田1人では無理な部分は部下が補ってくれている感じです。

原作の主要人物はドラマ版と同じ模様。

 

そして何より映画版とドラマ版の最大の違いは「強請のネタ」です。

 

あらすじに書いた「内ゲバ」とは、学生運動の際に行われていたリンチの事です。

学生運動共産主義思想の元で活動が行われていた訳ですが、転向してそこから抜ける為には仲間からリンチを受けなくてはなりませんでした。活動後半は殆ど無くなった様ですが、内ゲバにより命を落とした人もいたのかもしれません。

映画版の強請のネタに、この「内ゲバ」が大きく関わります。

林原含む5人は学生時代、学生運動に参加していました。ある日内ゲバで1人の学生を死亡させてしまいます。

林原達は全員口をつぐむ事にしたのですが、そこに5人以外にもう1人加担した野村という学生がおり、口の軽そうな野村の存在に不安を覚えた5人は登山を口実に野村を呼び出し雪山で殺害の上、歯を全て折って野村の死体を埋めたのです。浅野のノートにはその詳細が全て書かれていました。

既に時効は成立していたものの、既に5人全員がかなりの社会的地位を持っていた為、どうしても隠したい過去の事実でした。

 

ドラマ版での強請のネタは、裕之の過去が関係してきます。

そもそも、ドラマ版では学生運動自体全く触れられてません。

 

原作も映画もドラマも裕之は、過去にあった雪山での一家心中の生き残りとして描かれています。

映画版では自動車内での一酸化炭素中毒。ドラマ版では山小屋で裕之母から直接扼殺されそうになります。

 

ドラマ版での強請のネタは、ここに繋げられています。

 

裕之母は裕之に逃げられ、雪山の中を裕之を探し回ります。

その時偶然、林原達は急死した野村の死体を埋めていました(殺害してない)。

裕之母に埋める所を目撃されたと思った林原達は裕之母を崖まで追いかけ、裕之母は崖から足を滑らせて落下し、死んでしまいます。

林原達は近くにいた作業員(先に出てきた岩田)の犯行を装います。

このネタで裕之は強請るのですが、裕之母が被害者である事には気付いていなかった様な…どうだったかな…。忘れてしまった…。

 

映画版とドラマ版は無理矢理ではあるものの林原達と裕之の繋がりを持たせてますが、原作では全く繋がりがないという事に驚きです。

 

後半は殆どどの作品も大きな相違はなさそうで、結末は裕之が雪山の頂上で座ったまま凍死しているという共通エンドになります。

 

私は最初に見たのが映画版で、映画版ではとにかく暴力描写が多く、精神病院看護師(男性)が浅野を執拗なまでに暴行する(最終的に浅野は死ぬ)シーンを筆頭に、内ゲバ、警察官同士でのリンチ、裕之が先の男性看護師を暴行の上殺害、林原が裕之を瀕死レベルまで暴行する等、目をおおいたくなる程暴力の嵐でした。

視覚からダイレクトに入ってくる為それらの凄惨さが脳に刻み込まれましたが、こんな作品の原作とは一体どんなものなのかと興味が湧いたのです。

 

打って変わってドラマ版では、暴力のぼの字もありませんでした。

全般的にミステリー色が強く仕上げられていて、視聴者の興味を上手く引いていたと思います。強請のネタはいまいちですが…。

 

原作はどちらかと言うとドラマ版に近い様なので、どうして映画版であそこまで暴力描写を強調したのか気になります。映画版では女性は真知子(裕之の恋人)しか出てこず、めちゃくちゃイカチイ男社会って感じに仕上がってます。

 

そうそう、どうやら映画版もドラマ版も原作の半分位しか映像化してない模様。

裕之と真知子のなれそめなんてほぼありませんし、裕之の過去なんて1人だけ生き残った事しか描かれてません(それが原因で精神を病んだというのは一応説明台詞がある)。

 

大きな違いはこれ位だったかな…。

また思い出したら追記するかもです。

 

とりあえず、映画版とドラマ版はこんな感じです!(唐突な終わり。)