「きちんと話し合えば分かり合える」と頑なに信じている人に疑問を覚えます。そういう人を勝手に「話せば分かる教」と書きました。
話せば分かる教の信徒は私の周りに沢山いますが、一番身近なのが母と兄。母は最近になってようやく「話し合う事すら出来ない相手もいる」と悟ったそうですが、その相手は父。父と母が結婚して40年以上。それで最近やっとって…。
私はこの教えに子供の頃から苦しめられていたんですが、一番絶望したのは父の2回目の浮気と家計の使い込みが判明した時。
母が、当時一人暮らしをしていた兄を召喚し、その兄が「父さんも話せば分かってくれる」と言ったんです。母と兄はとてもよく性格が似ていて、兄の言葉で母は「きっと分かってもらえる」と確信を強めた様です。絶望しました。状況が改善しない事がすぐに予想出来ましたから。
その結果が今。毎日父が怒鳴り、話し合いは叶わず、毎日母が電話で私に愚痴る。
私はあの兄の言葉に即座に反論しましたが、当時は高校生だったので私の言葉は誰にも届きませんでした。
兄を恨みました。
兄は実家を離れてるから良いよね。私はとばっちりを受けてるんだ。毎日毎日家が震える程の大声で夫婦喧嘩が行われて、私はほとんど眠れなかった。夜通し夫婦喧嘩は続いたから。毎日毎日…。
確かに、お互いが腹を割り、本音を言い合い、腹が立っても場を投げ出さず、感情的になっても冷静になる様に努め、同じ方向を見て歩いていけるという確証があれば可能かもしれませんが、そんな確証をどうやって得るのか?
兄を恨むのは筋違いだと、今は分かっています。が、兄も今になってやっと「話し合う事も出来ない相手もいる」と分かったみたいで、それを見て私はほくそ笑んでいます。相手は兄嫁ですから、逃げ出す事も出来ません。
私に「話し合えば分かり合える」と教え続け私を苦しめた母の愚痴、最近はあまり聞かない様にしています。
不思議な事に、父からも似た愚痴が私にくるんですけどね。昔から私を通して会話する夫婦だったわ、そう言えば。
父と母と兄。
愛情と憎しみが入り乱れます。