正確には初めてでは無いけれど、母に対して自分の主張を通し、私がひるまなかったのは生まれて初めてだ。
私は母を傷付けるつもりなど毛頭無かったが、私の言葉に母が激昂した。
後から「冷静になって考えた」と再度電話がきたのでもう誤解は解けたのだけど、どうやら私の発言が母のプライドを傷付けた様だった。
私には分からなかった。
「自分が言われたらどう思う?」と、午前中の電話でも午後の電話でも聞かれたけど、「私なら怒らないし、何も思わない」としか答えられなかった。
本当にそうだから。
それに、私は決して母を傷付けようと思って発言した訳では無いし、他の誰よりも母の人間性については理解してるつもりだ。
感情的で私の苦手な人種だけど、正直で真っ直ぐな人だ。世渡り下手だからよく誤解されて損をする。私に依存するのはどうにかして欲しいけど、常人なら気が狂うかもしれない状況を過去に打破した強さがある。
だから、母を理解している→母を傷付けるつもりは無いのに激昂された→言い掛かりをつけられた気分になった。
今までの私なら口論を避けて自分は主張せず、とにかく母を宥めにかかっただろう。
感情的になっている人に何を言っても無駄だと思っているから。
でも今回は、譲れないと思った。
誤解を受けたまま電話を終われないと思った。
普段の私は優しいらしい。
色々な人に言われるが、特に母は常にそう言っている。
その私は、「外面の私」だ。
優しい私を捨てて、理詰めで母に自分の主張を訴え続けた。
電話を切ろうとする母を止めて主張し続けた。
母はますます激昂し、終いには声が裏返る程になった。
でも私は止めなかった。
母は約束があったので時間に制限があり、仕方無くそこで電話を切った。
モヤモヤしたし初めての経験にドキドキしたけど、もうどうしようもないので私は電話を切った後は考えない様にした。
そうしたら午後に電話があり、冷静になった母と冷静に話し合いが出来て、誤解は解けた。
私は少し成長した気がした。
ほんの少しだけだけど。